「ケツァール」という鳥を知っていますか?世界一美しい鳥として有名で、手塚治虫の「火の鳥」のモデルとも言われています。
野鳥ファンならば一度は見てみたいケツァールに会うため、2024年7月中米コスタリカに行ってきました。そしてケツァールに会うことができました。
この記事では私が現地で撮影した写真とともに、ケツァールについて紹介します。
ケツァールはグァテマラの国鳥だけど・・・
ケツァールは和名では「カザリキヌバネドリ」といい、エメラルドグリーンの羽毛が美しい鳥です。
ケツァールはメキシコ南部からパナマまでの中南米に生息しているキヌバネドリ科の鳥です。
キヌバネドリ科の鳥は全部で9種類で、いずれも美しい色合いの鳥です。
ケツァールは中米グァテマラの国鳥で、グァテマラの通貨の名前にもなっています。
しかし、開発による生息地の減少により、グァテマラではケツァールを見ることはできなくなっています。私がケツァールの観察をしている場所にも、グァテマラからケツァールを見に来た人がいました。
エコツーリズム発祥の国であるコスタリカでは、国土の3分の1が国立公園や生物保護区に指定され、野生の動植物が長年保護されてきました。ケツァールの生息数もここ20年安定しています。
その結果、ケツァールを観察するにはコスタリカが最適なのです。
ケツァールの羽毛の美しさは構造色のなせる技
ケツァールの全長は36㎝、ハトよりもひと回り大きく、繁殖期のオスには65㎝を超える長い飾り羽があります。飾り羽をなびかせて飛ぶようすは、まさに「火の鳥」です。
つぶらな黒い目、黄色のくちばし、胸は赤く頭から背中はエメラルドグリーンに見えます。
この羽毛の色は「構造色」と言って反射する光の波長によって青色や緑色に、冠羽は金色に見えます。
私たちに身近な「カラスの濡れ羽色」も構造色です。
鳴き声も「クークー」と可愛らしく、見た目も鳴き声も可愛らしい、まさに天は二物を与えた鳥です。
古代アステカでは、ケツァールの飾り羽を身につけるのは最高位の聖職者と王様だけの特権だったそうです。
ケツァールとリトルアボカドは相利共生の関係
ケツァールの食物は「リトルアボカド」の実です。リトルアボカドの実はドングリくらいの大きさで、柄の部分が赤く、実は濃い緑色をしています。
ケツァールはリトルアボカドの実を丸吞みし、しばらく枝にとまって実を消化します。
その後、消化できない種を吐き出します。
一方、リトルアボカドはケツァールに果肉を食べられることで種子の発芽が促進され、種子を遠くに運ぶことができます。
ケツァールとリトルアボカドは持ちつ持たれつ、まさに相利共生の関係なのです。
私がケツァールを観察した「セロ・デ・ラ・ムエルデ」ではたくさんのリトルアボカドの木が実をつけていました。自分の農場にリトルアボカドの木を植えて、ケツァールの観察場所を作っている人もいて、観光客がケツァールを見に来ることで、収入を得ています。ケツァールは人間とも相利共生のようですね。
日本でケツァールに会える動物園はある?
ケツァールは飼育が大変難しい鳥で、だれにも支配されない「自由」という意味もあります。ワシントン条約によって国際取引も禁止されています。
したがって、日本でケツァールに会える動物園はありません。ケツァールに会いたければ、コスタリカに足を運ぶしかありません。
日本からアメリカなどを経由して30時間以上かかりますが、ケツァールをはじめ、野生の動植物を間近に観察することができます。ぜひ一度コスタリカを訪れてみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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