今年はウサギ年ですね。
ウサギというとペットとして人気のカイウサギをイメージする人が多いと思いますが、
世界自然遺産である奄美大島と徳之島に生息する「アマミノクロウサギ」を知っていますか?
アマミノクロウサギは絶滅危惧種で特別天然記念物で「生きた化石」です。
アマミノクロウサギとはどんなウサギなのでしょうか。
アマミノクロウサギは絶滅危惧種で特別天然記念物?アマミノクロウサギとは?
アマミノクロウサギは世界で奄美大島と徳之島にしか生息していない原始的なウサギです。
500万年~300万年前から生息していると言われ、ヨーロッパのアナウサギの祖先です。
かつて大陸で栄えていたアマミノクロウサギの仲間ですが、生存能力が高いノウサギの登場で競争に敗れてしまい、古い形質を持つウサギは絶滅してしまいました。
大陸の隅っこに暮らしていたアマミノクロウサギは地殻変動で大陸から切り離されて天敵のいない奄美大島と徳之島で生き延びることができたのです。
ノウサギは草原に適応して進化したので速く走り続けることができます。だから後ろ足が発達していていて、走って上昇した体温を逃がすために耳が大きくなりました。
アマミノクロウサギは体も小さく、耳も小さく、後ろ足は短くて走ったり跳んだりするのは苦手です。
その代わり穴掘りは得意で昼間は斜面に掘った巣穴で過ごし、夜に巣穴から出てきて活動します。
アマミノクロウサギは絶滅危惧種で特別天然記念物?アマミノクロウサギの子育てはユニーク
アマミノクロウサギの子育てはとてもユニークです。
母ウサギは自分の巣穴とは別に赤ちゃん用の巣穴を掘ります。
授乳は2日に1回です。授乳が終わるとなんと巣穴に土をかぶせてふたをするのです。
巣穴は十分広いので、赤ちゃんが生き埋めになることはありません。この行動は巣穴にハブが入らないようにするためと考えられています。
授乳から48時間で赤ちゃんがお乳を消化して空腹になり、母ウサギはお乳がたまっておっぱいが張るようになっています。
アマミノクロウサギはなぜ絶滅危惧種に?
アマミノクロウサギは絶滅危惧種(絶滅危惧ⅠB類)です。2003年時点で奄美大島に2000~4800頭、徳之島に約200頭が生息していると推定されています。
アマミノクロウサギが絶滅危惧種になった原因は大きく4つあります。
1つ目は開発によって森林が減少して生息地が分断されていることです。地理的に隔離されることで地域的な絶滅の危険性があります。
2つ目は人間が持ち込んだ外来種であるマングースや飼い猫が野生化したノネコによる捕食です。
3つ目は交通事故です。エサとなる植物の新芽を食べようとして夜間に林道に出てきて交通事故にあう事が多いです。
私が奄美大島で見たマスコットの黒兎くん(こくとくん)は黒いウサギ(耳が小さいのでネズミかクマに見える)で、お腹が白くなっています。ガイドさんによると、白い部分は交通事故にあって包帯がまかれていることを表現しているんだとか。
アマミノクロウサギを絶滅危惧種にしたのは人間の活動なんですね。
アマミノクロウサギは絶滅危惧種で特別天然記念物?ハブとの微妙な関係
アマミノクロウサギの天敵はハブです。特に赤ちゃんはハブに丸呑みにされてしまいます。
だから母ウサギは巣穴にふたをして守っています。
私は奄美大島でホルマリン漬けのハブの胃袋にアマミノクロウサギが丸ごと入っているものを見ました。ぞっとしましたよ。
一方で冬の気温が低い季節にハブがアマミノクロウサギの巣穴に居候して、アマミノクロウサギの体温で暖を取っている様子も報告されています。
自然界って不思議なことがたくさんありますね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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