みなさんはかわいい「ヤマネ」という動物を知っていますか?
ヤマネコではありませんよ。もちろん芸人さんのことでもありません。
小さな体に愛らしい目、そして長くてフサフサの尻尾をもち、手のひらに収まるくらいの可愛い動物です。
実はペットにしたいという人気もあるのですが、二ホンヤマネは天然記念物なのでペットにはできません。
私も写真集や図鑑でしか見たことがないのですが、一度森で出会ってみたいと思っています。
ヤマネはげっ歯類というリスやネズミの仲間で「森の妖精」とも呼ばれます。
二ホンヤマネは天然記念物 かわいいヤマネの生息地は?
世界にはヤマネの仲間は11種、日本には二ホンヤマネ1種だけが生息しています。
ヤマネは日本以外ではアフリカやヨーロッパ、中央アジアに分布しています。
二ホンヤマネは北海道と南西諸島以外の低山から亜高山帯の森で分布が確認されており、ある程度の個体数が生息しているので、絶滅危惧種ではありません。
しかし、二ホンヤマネは国の天然記念物に指定されていますので、森で出会ってもそっと見守ってくださいね。
2300万年前~530万年前に日本列島が形成された頃から日本のヤマネは独自の進化をはじめたようです。
二ホンヤマネはそのころの地層から見つかった化石と骨格や生態が大きく変わらないことから「生きた化石」と呼ばれています。
昔と同じ骨格や生態でも生き残ることができる環境が私たちが住む日本にはあるということを示していると思います。
二ホンヤマネは天然記念物 かわいいヤマネの生態や寿命は?
ヤマネは漢字で「山鼠」と書き、ヤマネズミがなまってヤマネになったと考えられます。
また、「冬眠鼠」と書くこともあり、これはヤマネの仲間がすべて冬眠することから来ています。
野生のヤマネは、森で木の穴の中に苔や木の皮で巣をつくって生活しています。自分で木に穴をあけることはできないので、キツツキなどが開けた穴を利用しています。
夜行性のため、日中は巣の中でぐっすりと眠っているので、姿を見ることはほとんどありません。
また、1年の大半を冬眠して過ごすので、フランスではぐっすり眠ることを「ヤマネのように眠る」と表現するそうです。
行動範囲はオスで2ヘクタール、メスは1ヘクタール弱と、体の大きさと比べるととても広いです。
ヤマネは雑食性で、昆虫を中心に木の芽や種子、果実などを食べています。眠っている間は餌を食べませんから、起きている間はずっと食べているような感じですね。
時にはアシナガバチの巣を襲って、親バチをはたき落とし、幼虫やさなぎを食べることもあるそうで、可愛らしい見た目からは想像できませんね。まるで小さな狩人です。
秋になって木の実が熟し始めると、ヤマネは冬眠に備えてたくさんの餌を食べて丸々と太ります。
太ったヤマネの写真を見ると、「これで木を登れるの?」と思うくらい春や夏のヤマネとは別人(?)です。
夏に20gぐらいだった体重は冬眠前にはなんと40gまで増えます。およそ2倍ですね、人間では考えられません。
ヤマネは冬眠からさめて数週間で恋の季節を迎え、メスはせっせと巣作りに励み、6月頃に出産します。
メスは1回の出産で3~7匹の子どもを産みます。生まれた赤ちゃんは生後1か月ほどで巣立ちます。
ヤマネの寿命は野生で3~5年程度、飼育下だと9年近く生きることもあるそうです。
私はハムスターを何度が飼育した経験がありますが、体の大きさがほぼ同じハムスターの寿命は2~3年ですから、寿命が長いなあと感じます。
二ホンヤマネは天然記念物 かわいいヤマネのからだのつくりは?
夜行性で樹上生活を行い、冬眠をするヤマネの体にはどのような特徴があるのでしょうか。
ヤマネの目は丸くて大きく、暗い森で活動するのに適しています。目の周りには黒いくまどりがあります。
ヤマネの体は鼻から尾の付け根までで7~8センチメートル、尾の長さが4~5センチメートルで、尾にはリスのように毛が生えています。
ヤマネの足には「かぎづめ」があり、太い木にも自由に登れますし、後ろ足のかぎづめで枝にぶら下がったまま、前足で餌を食べたり毛づくろいもできます。
後ろ足で木の枝に逆さにぶら下がって毛づくろいをしているヤマネ、可愛いだろうなあ、ぜひ一度会ってみたいものです。
ヤマネの毛は長い毛と短い毛が混じって生えていて、冬眠するので夏毛と冬毛の生え変わりはありません。
二ホンヤマネだけ背中に黒い筋が入っています。背中に白い模様が入っている二ホンヤマネも発見されています。
二ホンヤマネは天然記念物 かわいいヤマネの冬眠とは?
ヤマネは気温が15度以下になると、木の穴や隙間、落ち葉の下、地中などに潜り込み、体を丸めて冬眠に入ります。くるっと丸まった姿は何とも言えないかわいさです!
民家の屋根裏などでヤマネが冬眠していた報告もあり(うらやましい!)、また複数で肩を寄せ合って眠ることもあるそうです。(きっと暖かいのでしょうね)
たまに積もった雪の中で冬眠するヤマネもいて、雪解けで、丸まったヤマネが発見されることもあるようです。
1度眠りにつくと、およそ半年間も眠り続けます。さすが「冬眠鼠」と呼ばれるだけのことはあります。
冬眠中はクマのように一定の体温を維持する冬眠とは異なり、外気温にあわせて体温が変化します。
ヤマネの体温は場合によっては0度近くになることもあり、呼吸数や心拍数も低下させ、仮死状態となります。
冬眠前には体重が2倍になるほど蓄えた脂肪を少しずつ消費していきます。だから、冬眠前はたくさん食べて丸々と太る必要があるのですね。
ヤマネの天敵はアオダイショウやフクロウ、カラスなどです。テンやキツネも要注意!
冬眠中に襲われたらひとたまりもありませんので、安全な場所で冬眠することが重要です。
二ホンヤマネは天然記念物 おわりに
どうでしたか?二ホンヤマネに興味をもってもらえたでしょうか。
日本の森にはこのような小さな生き物が暮らしています。彼らがこれまで通りに暮らす場所を守っていきたいものですね。
数多くの動物や植物が共存できる場所が、実は人間にとっても暮らしやすい場所なのです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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