夏真っ盛り、海水浴や磯遊び、水族館に出かける人も多いと思います。
誰でも知っている「ヒトデ」、星のような形をした動物です。子供に磯の絵をかいてもらったら、ヒトデは必ず入っているのではないでしょうか?
形も面白いし、色がきれいなものも多いので水族館では人気がありますよね。また、「掃除屋」として、水槽で飼育する人も多いらしいです。
ヒトデはサンゴ礁のサンゴを食べてしまうので、悪い動物というイメージがありますが、実は生態系で大事な役割を果たしています。
ヒトデはどのような動物か、紹介していきます。
ヒトデは何動物?分類は?
ヒトは脊椎動物・哺乳類ですが、ヒトデは分類上は何動物なのでしょうか?
ヒトデは無脊椎動物の棘皮動物(キョクヒ動物)で、ウニやナマコと同じグループです。
棘はとげという意味です。ウニだとまさに棘皮動物という感じですね。
ヒトデはタコのように一見柔らかそうですが、触ってみると固くて表面に小さなとげとげがあることが確認できます。(触っても痛くありません)
水族館のタッチプールコーナーで、ヒトデなどに触れる場所もあるので、ぜひ体感してください。
棘皮動物はからだのつくりがかなり特殊で「五放射相称」といって、中心から5方向に同じ形をしています。
だから、ヒトデの足は基本は五本で、人の手(五本指)に似ているから「ヒトデ」なんですね。
ほとんどの動物のからだは「左右相称」で、前と後ろがありますね。私たちも左右相称です。
ヒトデは何動物?何を食べているの?
ヒトデは貝の仲間、サンゴの仲間、エビやカニ、ウニから海藻類にプランクトンまで海の生き物のほとんど何でも食べます。
ヒトデが餌を食べるときには餌を飲み込む場合(私たちと同じ)と、口から胃が飛び出して餌に押し付け、体の外で消化する「反転胃型」の場合があります。
ヒトデの口を囲む骨格は骨片(こっぺん)という小さな骨の集まりからできていて、自由自在に変形することができます。
体は固いけど柔軟で、アクロバットのような動きができます。(体が硬い私にとってはうらやましい)これは、海底で動き回る動物を捕食するうえでとても都合の良い仕組みです。
例えば、ホタテなどの二枚貝をたべるときには腕でしっかりと抱え込み、さらに管足を使って二枚貝をこじ開けて胃を反転させて食物を包み込み消化吸収してしまいます。
このような食べ方で、普通の動物には食べにくいカキのような固着性の貝類も食べてしまいます。
「反転胃型」だと、魚のような自分よりも大きな食物も食べることが可能です。
「反転胃型」で食べている様子は、色々な生物の生態を見慣れている私でもちょっとゾッとします。
ヒトデは何動物?ヒトデは悪者か?
ヒトデは何でも食べることは前にも述べましたが、カキ・ホタテ・ウニ・アワビの稚貝など、人間が養殖している海産物も食べてしまいます。
だから、ヒトデは漁業関係者には迷惑な動物として、大量発生すると駆除されて堆肥にされててしまいます。
また、オニヒトデはサンゴのポリプを食べるためにサンゴ礁に打撃を与えていますので、沖縄の海では駆除の対象です。
ここまでだと、ヒトデは悪者のように思えますね。
しかし、ヒトデは生態系で大事な役割も果たしています。
かつて、アメリカで岩礁地帯で以下のような実験が行われました。
実験前は紅藻やヒザラガイ、カサガイ、フジツボやイガイ、イボニシなど多くの生き物が共存し、ヒトデは岩礁地帯では食物連鎖の頂点にいました。
この岩礁地帯で、1年間ヒトデだけを取り除くことを続けたのです。
すると、1年後その岩礁地帯はフジツボやイガイだけが生息し、他の生き物はほとんどいなくなってしまいました。
この岩礁地帯ではヒトデが繁殖力の強いフジツボやイガイを食べることで、他の生き物も生活できるようにバランスをとる役割を担っていたのです。
このような生物の種を「キーストーン種」といい、「生物多様性」を保つうえでとても大切な生物の種なのです。
話は変わりますが、熊本県の有明海沿岸地域では昔からヒトデをゆでて食べているそうです。
どんな味がするのでしょうね、私も一度食べてみたいと思っています。
ちなみにイソギンチャクの味噌煮(わけのしんのす)は福岡県の柳川市で食べましたよ。
ヒトデは何動物?おわりに
私は生き物を人間にとって都合がいいか悪いかで分けるのは危険な考え方だと思っています。
テレビなどで偏った報道を見ると、とても悲しい気持ちになります。
この世界によい生き物・悪い生き物などありません。みんな一生懸命生きて一生懸命子孫を残しています。
地球の生き物は複雑に関係しあっていて、絶妙なバランスを取っています。
何かが欠けるとバランスが崩れて想定外のことになる可能性があります。
風が吹けば桶屋が儲かるではありませんが、例えばみんなが嫌いなゴキブリが絶滅したら、人間の生活に不都合が起こる可能性だってあるのです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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