シカは増えすぎ?食害の原因と対策は?

セキツイ動物

みなさんにとって「シカ」はどんな動物でしょうか?

大きな丸い目、プロポーション抜群、おしりのハートマークがかわいい草食動物といったところでしょうか?

奈良公園や宮島はシカがたくさんいる所で有名ですね。特に奈良公園のシカは人なつこくて、鹿せんべいを持っていると集まってきます。

でも、よく考えると奈良公園や宮島のように野生のシカが人をおそれないというのは大変珍しいことだと思いませんか?

実は近年シカが増えて林業や農業に大きな被害が出ています。

ここではシカの食害について紹介したいと思います。

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シカは増えすぎ?食害の原因と対策は?シカとはどんな動物?

シカ(ニホンジカ)は日本に分布する大型の哺乳類です。

オスは枝分かれをした角を持ち、メスには角がありません。オスはメスよりも一回り体が大きいです。

オスの角は毎年春から秋にかけてにょきにょき伸びて、半年ほどで落ちてしまいます。

オスの角は戦うための道具ではなく、メスにアピールするためのもので、立派な角を持つオスはメスにモテるので、子孫を残すことができるのです。

秋の繁殖期にはオスのシカの甲高い鳴き声が山奥で響きます。和歌にも詠まれていますね。

シカの出産時期は5月から7月頃で、一頭出産し、生後2~3年で大人になります。

シカのひづめは森の中の生活に適していて、木の根がたくさんあるような場所でも走って移動できます。

後ろ脚の筋肉は発達していて、2メートルの障害を飛び越えるジャンプ力を持っています。

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シカは増えすぎ?食害の原因と対策は? シカの食害の実態とは?

シカの食害は山でも里でも大変深刻です。

山では植林された杉の苗木が食べられています。

成長した木も、樹皮がかじり取られたり、オスが角をこすりつけて幹に傷がついて弱ったり木材としての価値が低くなっています。

山の木を観察すると、ちょうどシカの頭の高さのところから下の樹皮がかじられて幹がむき出しになっていることに気づきます。(このラインをディアラインと言います)

こうして山の木や草が食べられて土がむき出しになると、土砂が流出して土砂崩れの原因になります。

先日私が登った由布岳では途中複数のシカを見かけました。シカのいた林では至る所に食害が見られ、登山道が荒れていました。

同行者は「シカだ!かわいい!」と言って写真を撮っていましたが、私はとてもそんな気分にはなれませんでした。

高山には貴重な高山植物のお花畑がありますが、地球温暖化の影響によりシカが高山帯に進出して、この希少な高山植物も食べられています。

里では農作物が食べられて被害が出ています。

人間が活動する昼間に田畑に出てくるシカは少ないですが、夜になると群れで出てきて稲や野菜を食べてしまいます。

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シカは増えすぎ?食害の原因と対策は?シカが増えている原因は?

シカが増えた原因はさまざまなものが関係しているといわれます。

1つ目は地球温暖化により、積雪が減ってシカが生息できる範囲が増えて、冬を乗り越える個体数が増えたことです。

以前はシカがいなかった高山帯にシカが進出したことは前にも述べました。シカが進出することで高山に生息する動物(ライチョウなど)の生存が脅かされています。

2つ目は放棄された農地が増えて、雑草や低木などシカがえさにする植物が里に増えたことです。

少子高齢化により、住み慣れた山里から都市部に移動する人が増えて、放棄された農地や里山が増えています。

人がいないことで、シカはかつての農地も餌場にして繁殖しているのです。シカは人間が作った境界線はわかりませんから、近くの農作物も食べてしまうのです。

3つ目は人間がシカを捕獲しなくなったことです。山村の人口は減る一方ですが、野生動物を許可を取って捕獲するハンターはそれに伴い高齢化して減少しています。

シカを肉や毛皮として利用する機会が減ったので、シカの捕獲数が減り、シカ肉の需要が低ければハンターをやめる人は増えます。負のスパイラルですね。

4つ目はニホンオオカミの絶滅です。シカを食べる天敵がいなくなることでシカの数が増えました。

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シカは増えすぎ?食害の原因と対策は?シカの食害の対策は?

シカの食害を防ぐにはどのような対策があるのでしょうか?

1つ目は植生保護策の設置です。

最近登山するとあちこちでシカが侵入できないような柵やネットが設置されています。

しかし、シカも必死なので柵を飛び越えたり、ネットを破ったりなどメンテナンスが大変です。

シカを傷つけず、植生を守れて、メンテナンスに労力がかからない柵やネットの開発が望まれます。

2つ目はハンターの育成です。

コロナ禍の影響とテレワークの広がりにより、都会から田舎に移住する若者が増えました。

移住して初めてシカの食害などの田舎が抱える諸問題に直面する若い人も多いでしょう。

環境省は平成24年度から若手ハンターの確保に向けた取り組みを進めています。

田舎に移住する若者にとって、ハンター資格を取り、シカ肉を流通ラインに乗せることは1つのビジネスチャンスになるのではないでしょうか?

今、畜産業が窮地に立たされています。牛肉からシカ肉へのシフトを考えてみてはどうでしょうか?

最後までお読みいただきありがとうございました。

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