ハブとマングースの戦い禁止 実は・・・

「ハブとマングースの戦い」どこかで聞いたことはありませんか?

かつて沖縄や奄美諸島で行われた観光客目当ての動物ショーですが、今は動物愛護の観点から禁止されています。

実は、沖縄や奄美諸島のマングースはハブ退治のために、人間が外国から日本に持ち込んだものです。

自然界では「コブラとマングースの戦い」はあっても、「ハブとマングースの戦い」はありえません。なぜでしょうか?

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ハブとマングースの戦い ハブとはどんなヘビ?どこにいる?

ハブは奄美諸島から沖縄にかけて分布する毒蛇です。

全長は1メートルから2.2メートルで体重は2キロから3キロくらいです。

ハブの毒はマムシよりも毒性は弱いのですが、毒の量が多く危険です。咬まれた場合はすぐに血清を使って解毒する必要があります。

一度咬まれた人がもう一度ハブに咬まれるとアナフィラキシーショックを起こして死に至ることもあります。(スズメバチと同じですね)

ハブは夜行性で、昼間は暗い穴の中で寝ていますが、ときどきネズミを捕まえるために民家に入り込むことがあります。

昔は台所で食器棚を開けるとハブがひそんでいたなんてこともあったそうです。お皿を取ろうと手を入れたらハブがいたという話を聞いてゾッとしました。

ハブのしなやかな動きから奄美諸島や沖縄の人はハブに咬まれることを「ハブにあたる」と表現します。

かつて奄美大島で夜行性動物の観察ツアーに参加した時、道路の真ん中にハブがいて、ジャンプして路肩に逃げる所を見ました。

脚が退化してないのに何という筋力でしょう!とてもびっくりしました。

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ハブとマングースの戦い マングースはとはどんな動物?どこにいる?

マングース科の動物は世界で30種以上います。日本では動物園で人気のあるミーアキャットも、マングース科の動物です。

ミーアキャットは毒のあるサソリを捕まえて食べますよね、マングース科の動物は毒のある獲物に挑む勇気あるハンターという感じです。

マングース科の動物は、アフリカ、インド、東南アジアにかけて分布し、森林からサバンナまで多様な環境に生息しています。

もともとマングースが生息している場所にはマングースを捕らえて食べる天敵も存在しますから、マングースが増えすぎることはありません。

日本に持ち込まれて定着したフイリマングースは、昆虫類、鳥類、爬虫類、哺乳類から果実まで食べる雑食性で、昆虫類が主な食べ物であることがわかっています。

からだの大きさは頭と胴体が25~37 cm、尻尾は19~29 cm程度で、オスの方が大きくなります。

毛の色はお腹以外は黒~褐色と黄白色です。繁殖期は年1~2回で、一度に1~3頭の子供を産みます。

フイリマングースは毒ヘビのコブラを捕まえて食べるのですが、これがフイリマングースが日本に持ち込まれる原因となりました。

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ハブとマングースの戦い マングースはなぜ日本に運ばれた?

フイリマングースは1910年に、渡瀬庄三郎という生物の分布の研究で有名な動物学者によって、ガンジス川流域で捕獲された17頭が沖縄に持ち込まれました。

目的は、サトウキビ農園に被害を出していたネズミとハブを退治することでした。

このように天敵を持ち込むことによって、害獣をコントロールする方法を「生物的防除」といいます。

当時は外国の動物を自然界に導入する危険性は認識されていなかったのです。

現在、奄美諸島と沖縄にはマングースが広く分布していますが、ハブもたくさん生息しています。

結局マングースは、ハブ退治には効果がありませんでした。

その原因の一つは、マングースが昼行性で、ハブが夜行性であるということです。

また、奄美諸島や沖縄にはマングースのような肉食動物はいませんでしたので、在来の動物は動きがのんびりしています。

マングースはハブを食べなくても、簡単に捕まえられる生き物がたくさんいるので、そちらを好んで食べていると考えられます。

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ハブとマングースの戦い マングースだって大迷惑!

こうして奄美諸島や沖縄でやっかいな害獣となったフイリマングース。

私は奄美大島に行った時に、あちこちでマングースを捕らえるワナを見かけました。

沖縄でも大規模なマングース捕獲作戦が行われ、一時期よりもマングースの数が減り、在来種の生き物の数は増えてきているようです。

奄美大島でお世話になったガイドさんもワナにかかったマングースは見たことがないと言っていました。

かつて「ハブとマングースの戦い」のショーをやっていた場所も、ハブとマングースの競泳や昔のビデオを見せるだけになりました。

しかし、マングースも人間の都合で生まれ育った土地から連れてこられたのです。そして、必死に生き残ろうと在来の動物を食べ、子孫を残してきたのです。

外来生物の問題は世界中で起こっています。一人でも多くの人に外来生物の問題に関心を持ってほしいと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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