私たちは当初エベレスト街道をトレッキングする予定でしたが、カトマンズやラムチャップ空港からエベレスト街道への入口であるルクラ空港への飛行機の度重なる欠航のため、アンナプルナベースキャンプ(略してABC)を目指すトレッキングコースに変更しました。
ABCコースは初心者向けとはいえ、標高4000メートル近くまで登りますので、なかなかハードでした。また、ネパールならではのインフラの事情もあり、忘れられないトレッキングになりました。
ポカラからトレッキングスタート地点
ラムチャップ空港からルクラ行きの飛行機が飛ぶ見込みが立たなくなった時点で、メンバーと話し合い、トレッキングコースを変更することになりました。
その後、ガイドさんがチャーターしたワゴン車で5時間かけてカトマンズに戻り、カトマンズ空港からポカラ空港へ国内線で移動し、夜遅くにホテルにチェックインしました。
翌朝ホテルをチェックアウトして登山口まで3時間の車移動です。ネパールの車道は半分以上は舗装していなかったり工事中で、街中は渋滞がひどく車での移動はかなりきついものでした。
私たちのグループ(5名)には日本語が話せるガイドさんが1名、ポーターさんが2名付きました。
登山中に必要のない着替えや洗面具などの荷物はポーターさんが宿泊場所まで運んでくれます。
送迎の四輪駆動車や荷物を運ぶロバなどでごった返す登山口からいよいよトレッキングスタートです。
上りは脚力の限界や高山病との戦い(3泊)
登山口を進むと、いきなり280メートルの長い吊り橋を渡ります。いきなり足がすくみます。
吊り橋はステンレス製で、馬やロバの隊列が渡れるくらい丈夫で落ちることはまず無いとわかっていても、遥か下に川が流れているのが床板の隙間から見え、さらに中央に進むほど揺れてとても怖かった。
橋には馬糞やロバの糞がたくさん落ちていて、その糞を下に落とすために床板には隙間が空いています。糞を踏まないように気をつけながら吊り橋を渡りました。
吊り橋を渡り終えると次の試練はおよそ7000段の地獄の階段です。事前に階段があることは知っていて覚悟していましたが、とにかくハードでした。昼食休憩をはさんで階段を登りきり、一泊目のチョムロン村(標高1951メートル)のロッジにたどり着きました。
チョムロン村はちょうど水力発電の故障で、電気もWi-Fiも無い状態でした。ロウソクやヘッドライトの光で食事や身支度を済ませ、トレッキング初日でメンバーにも余裕があったのか、電気のない生活を楽しめて夜のおしゃべりも盛り上がりました。
私たちがネパールに行った3月は乾季の後半だったのですが、まるで雨季のように毎日午後は雨に降られました。朝は晴れて山々がきれいに見えますが、午後になると雨が降り始めて、ずぶ濡れでロッジにたどり着く毎日です。
2日目はヒマラヤホテル(標高2873メートル)を目指して約6時間のトレッキングの予定でしたが、ペースが遅く一つ手前のロッジに宿泊しました。その夜は土砂降りで下山することも考えましたが、翌朝は晴れ、行けるところまで行くことになりました。
3日目はマチャチュプレベースキャンプ(標高3650メートル)を目指します。これまでは、地元の人の生活道路を歩く感じだったのが、登山道という雰囲気に変わり、雪も残っています。標高が2500メートルを超えると、高山病の危険性がありますので、ペースを落として息を吐くことを意識しながら歩きます。休憩のたびにガイドさんに血中酸素濃度を測ってもらいながら目的地にたどり着きました。
マチャチュプレベースキャンプ付近は一面雪野原、さらに雪が降り出し夜は雷も鳴り響く嵐になりました。気温は氷点下です。
宿泊するロッジの部屋には簡易ベッドがあるだけで暖房の設備はありません。食堂には有料のヒーターが置いてあるところもありましたが、利用しませんでした。ロッジではありったけの衣類を着込んで、ナルゲンボトルにお湯を入れて湯たんぽにして寝袋の上に薄い布団をかけて寒さをしのぎました。
4日目は早朝にアンナプルナベースキャンプ(標高4130メートル)に行って朝食を食べ、下山する計画でした。私は下山に向けて体力を温存したかったので、ロッジで留守番してグループで元気な二人がガイドさんとABCにアタックしました。
下りは転倒しないように慎重に(2泊)
4日目5日目は来た道をひたすら下ります。日本で登山するときは、一日歩くと翌日は筋肉疲労や筋肉痛を感じるものですが、今回はそんなことを言っていては先に進めません。
確実に疲労がたまり、笑う膝をなだめすかしながら転倒しないように慎重に下山しました。
日本から持って来たアミノ酸のサプリや漢方薬が活躍しました。持って行ってよかった!
上りが登ったり下ったりしながら次第に標高が上がるのと同様に、下りも登ったり下ったりが続きます。この下りの途中の上り階段が一番辛かったです。ストックに体重を預け、四本脚の動物になったつもりで歩きました。
登山口近くのホテルにたどり着き、久しぶりにシャワーを浴びたときは本当に嬉しかった。
トレッキング中はシャワーは諦め、赤ちゃんのおしりふきで体を拭いていました。
翌朝、長い吊り橋を渡って登山口まで行き、四輪駆動車に揺られてポカラまで移動して、トレッキング終了です。ここでポーターさんたちとはお別れです。
私は日頃は標高1000メートル未満の低山に登り、時々高い山に挑戦する程度の初級登山者ですが、今回のトレッキングを経験して頑張った自分に自信が持てました。鎖場や岩壁などの危険な箇所は無いし、道迷いの心配も少ないコースですが、やりきった感があります。
ヒマラヤトレッキングに興味を持っている方の参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント