春らしい暖かい日が続いています。野鳥にとっては大事な繁殖シーズンです。山や森、市街地でもさまざまな野鳥のさえずりを聞くことができます。
「さえずり」は基本的にオスが自分のなわばりを宣言したり、メスを誘うためのもので、それぞれの野鳥によって違ったさえずりをします。
みなさんはきれいで声も大きく歌っているような長いさえずりを聞いたことはありませんか?
それは「ソウシチョウ」か「ガビチョウ」の可能性があります。「ソウシチョウ」「ガビチョウ」はどんな野鳥なのでしょうか。
ソウシチョウとガビチョウとは?
先日山に行った知り合いが「山できれいなさえずりを録音したけど何の鳥?」と動画を送ってきました。
動画を再生すると、とてもきれいな歌っているようなさえずりが聞こえてきました。私は「ソウシチョウかガビチョウでしょう」と返事をしました。
知り合いはソウシチョウやガビチョウの名前も知らなかったのですが、ネットで検索してYouTube動画をみて納得していました。
ソウシチョウは姿も声も美しい
ソウシチョウはスズメ目メチドリ科の野鳥で、全長15センチの留鳥(一年中見られる鳥)または漂鳥(季節で場所を移動する鳥)です。
スズメよりも少しだけ大きく体の上面は灰色で頭部は緑色を帯びています。目の周囲からほほは白っぽく喉と尾は黄色、胸はオレンジ色くちばしは赤色とカラフルでとても美しい鳥です。
山地の落葉広葉樹林に生息し、笹のある場所が好きで冬は群れを作ります。私は公園を散策していた時にソウシチョウの群れに遭遇したこともあります。とてもきれいでしたよ。
ソウシチョウは雑食性で昆虫・種子・果実を食べます。
さえずりは在来種のクロツグミに似ていて、からだの大きさの割に声量があります。
本来は中国やベトナムに暮らしていましたが、江戸時代に観賞用として輸入されペットとして飼われていました。
ところが大きな声で絶えず鳴くことから「うるさい!」と野に放たれ野生化しました。
ソウシチョウの生活場所やエサは在来種のウグイスと重なっていて、ソウシチョウが増えることでウグイスが生息できなくなってしまいます。
その結果ソウシチョウは「特定外来生物」に指定されています。
ガビチョウはとってもにぎやか
ガビチョウはスズメ目メチドリ科の野鳥で、全長25センチでちょうどヒヨドリと同じ大きさです。
ガビチョウのガビ(画眉)は目の周囲の白い勾玉模様が名前の由来です。
ソウシチョウと異なり目の周囲の模様以外は地味で、全身茶褐色です。
ガビチョウも外来種で、もともとは中国南部や東南アジアに生息していました。
ペットとして輸入したものが逃げたり、うるさく鳴くので野に放たれて野生化しました。
「ヒーヒョイヒーヒョイ」と複雑な声で長時間さえずります。
ソウシチョウもガビチョウも人間の都合で本来の生息場所から日本に連れてこられ、野生化しました。連れてこられた場所で必死に生きて子孫を残しています。
私は野鳥の図鑑を3冊持っていますが、よく見かける野鳥なのに、ソウシチョウやガビチョウが載っているのは1冊だけです。外来種だからでしょう。
美しいさえずりの中にもそのような問題があるということを知ってもらいたいなあと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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