アフリカゾウを知らない人はいないでしょう。アフリカのサバンナの映像には必ずといっていいほどアフリカゾウが入っています。
アフリカゾウが暮らすサバンナは雨季と乾季に分かれていて、生き延びるためには水を確保することが大切です。
アフリカゾウの泥浴びが、サバンナに住む他の動物たちが水を確保することに役立っている話を知っていますか?
アフリカのサバンナの代表的な生き物であるアフリカゾウが絶滅危惧種に指定され、生息場所や生息数が減っていることをご存じでしょうか?
映像を見ると生息数が減っていることはイメージできませんよね。私もケニアのマサイマラに行った時アフリカゾウの群れをたくさん見たので、絶滅の危機にあるようには感じませんでした。
それは野生動物を保護しているマサイマラだったから、たくさんのゾウに会えただけだったのでしょう。
アフリカゾウを取り巻く問題にはどのようなものがあるのでしょうか。
アフリカゾウは絶滅危惧種!生息場所が減少している原因とは?アフリカゾウの生息場所や生息数は?
ゾウは哺乳綱長鼻目ゾウ科の動物です。現在生息するゾウの仲間はサバンナゾウ、マルミミゾウ、アジアゾウの3種です。
アフリカに生息するゾウはアフリカゾウ1種と長い間考えられてきましたが、アフリカ中央部及び西部の森林地帯にすむマルミミゾウ(シンリンゾウ)とそれ以外のサバンナゾウの2種に分けられました。
アジアゾウはアフリカ産のゾウより小型で性格は穏やか、南アジアと東南アジアに生息しています。日本の動物園にいるゾウの大半はアジアゾウです。
草食動物であるゾウは大きな体を維持するために多くの植物を食べます。野生の大人のゾウは一日に100~200kgも食べると言われます。
だから、ゾウが生きるためには餌となる植物が豊富にあることが必要です。
アフリカのゾウはこれまで1種としてレッドリストの絶滅のおそれの一番下の段階のVU(危急)に指定されていました。
しかし、最新版IUCNレッドリストの評価ではサバンナゾウとマルミミゾウの2種に分けて評価した結果、サバンナゾウは絶滅のおそれの大きいほうから2番目のEN(危機)、マルミミゾウは最も絶滅のおそれの大きいCR(深刻な危機)に指定されました。
アフリカゾウの個体数が減少した主な原因は「象牙を目的とした密猟」です。
日本でも印鑑や茶道の道具などで象牙を用いたものが高級品として扱われています。
象牙を取るためには、ゾウの顔ごと切り取りますから、ゾウは殺されてしまうのです。
厳しい取り締まりの結果、ゾウの個体数は20~30年かけて回復してきていますが、密猟はいまだに続いています。
象牙を欲しがり高く買い取る人間がいる限り、密猟はなくならないのではないでしょうか?
アフリカゾウの個体数が減少したもう一つの原因は人間による急激な土地利用の変化によってサバンナゾウの生息地が減少したり、人間の利用によって生息地が分断されることです。
経済の発展と技術の進歩によって人間の活動範囲が拡大して、サバンナが農地に変わり、井戸を掘り地下水をくみ上げることで野生動物が利用できる水が減少しました。
アフリカゾウは絶滅危惧種!生息場所が減少している原因とは?ゾウと人間の共存
タンザニアでは手厚い保護活動の結果、ゾウの個体数が増加しました。しかし、このゾウの増加とともに「ゾウ獣害問題」が生じています。
タンザニアのセレンゲティ国立公園に隣接する農村では、ゾウが畑の作物を食い荒らし、さらには人を殺す事件も起こっています。
農民が一生懸命育ててきた作物を、ゾウは一夜で食べてしまいます。すると、農民は貧困に陥り、生活の質は低下して、医療費や教育費を削って生きていくのに精一杯の状態になります。
ゾウは保護動物なので、村人はゾウを追い払って保護区に戻すしか対策はありません。
アフリカでは今後も人口の増加が予測されていて、経済発展や技術革新によってそれまで利用していなかった土地を人間が利用するようになるでしょう。
タンザニアのゾウと人間の問題のようなことが他の野生動物との間でも起こってくるに違いありません。
私たち人間と野生動物の共存にはまだまだ課題が多いですね。日本から遠い場所の問題もみんなで考えていく必要があると思います。
アフリカゾウが泥浴びする理由は?アフリカゾウには特殊能力がある?
アフリカゾウの暮らすサバンナには雨季と乾季があります。
乾季に動物たちは生き延びるために水を求めて大移動します。アフリカゾウも同様です。
アフリカゾウは群れで暮らし、群れのリーダーは年長のメスです。
ゾウの足は大きくて皮膚も硬いので、感覚が鈍そうなイメージがあるかもしれませんが、とても敏感なんです。
リーダーは足の裏の感覚やかすかな匂いから水脈を見つけます。すると、鼻を器用に使ったり、足で掘ったりして水を湧き出させます。
また、ゾウは体に付いた寄生虫を退治するために地面に寝っ転がって泥浴びをします。
あの大きな体で泥浴びをした後がくぼみ、雨が降ると水が溜まって貴重な水場となります。
サバンナに点々とみられる水場はゾウによってつくられたものもあるのです。
この話は8月28日の「ダーウィンが来た!」でも取り上げられました。
おわりに
みんなが知っているアフリカゾウ、アフリカゾウの泥浴びは自分たちの寄生虫退治だけでなく、他の生物がサバンナで水を得るために役立っています。
このように、生き物は複雑に繋がっているのです。
また、アフリカゾウは絶滅危惧種であり、野生動物として人間と共存するためにはたくさんの課題があることが分かりました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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