魚の中で唯一の飛ぶ魚「トビウオ」。
NHKの「ダーウィンが来た!」でなんと45秒間飛び続ける映像が公開され、ギネス記録に認定されました。
トビウオはなぜ飛ぶのか、飛ぶためにどう進化したのか。その実態に迫ります!
トビウオの飛距離は?
トビウオはダツ目・トビウオ科に分類される魚の総称です。
世界中の温暖な海で見られ、40種が知られていますが、黒潮に乗って日本近海に現れるトビウオ科の魚は約20種といわれています。
トビウオの尾びれの下方は、上方に比べて長くなっています。
この尾びれを海面で激しく振って助走し、勢いをつけて空中に飛び出して、その後は胸びれと腹びれをひろげて、グライダーのように水面近くを飛行します。
トビウオは波のてっぺんから飛び立ちます。
こうすると高さが稼げるだけではなく、波を昇る上昇気流に乗れるので長く飛ぶことができます。
またトビウオは、空中で身体を傾けて方向転換をすることもできます。
そして、勢いが無くなっても、尾びれだけを水に触れた状態で加速して、もう一度飛ぶことができるのです。
助走の速度は時速70キロ、飛ぶ高さは海面からおよそ2メートル、飛距離は最長400メートル、滞空時間は最高45秒の記録があるそうです。
筆者は一度だけ目の前でトビウオの滑空を見ました。熊本県天草市で遊覧船に乗っていた時の事でした。
キラキラ光る海面をヒューッと飛んでいくトビウオの滑空は美しく、その日は幸せ気分でした。
トビウオが長い距離を飛べるのには体の構造にも理由があります。
トビウオには胃が無く、消化管も直線です。
トビウオは、消化管をなるべく短くすることで、体内に食物を残さず、体を軽くしていたのです。
また、電子顕微鏡で見ると、トビウオの骨はすき間だらけです。
こうしてまでトビウオは、身を軽くしています。
トビウオはなぜ飛べるように進化したの?
トビウオは表層魚といって、海面近くを泳ぐ魚です。
栄養補給のために海面近くのプランクトンを含んだ多様なエサを食べます。
トビウオの天敵は、サバやマグロ、メカジキ、カジキなどの大型魚です。
これら大型の魚に捕食されそうになると、これから逃れるため飛ぶのです。
トビウオの稚魚は生後2週間ほどでヒレを大きくし始め、稚魚のうちから飛ぶことが出来るようになります。
トビウオは多くの敵から逃れるために、滑空能力を進化させたと考えられています。
飛ぶ(滑空)しているときは海鳥に狙われるという問題がありますが・・・
ちなみにトビウオやイワシ、サバなどの背の青い魚は背中が黒っぽく、お腹は白っぽいですね。
これは上から見ると海の色に馴染んで海鳥から見つかりにくく、海の深いところから見上げると海面からの光に馴染んで大型の魚に見つかりにくくするための工夫です。
トビウオを「あご」と呼ぶのはなぜ?
九州ではトビウオは「あご」と呼ばれます。博多雑煮は「あご出汁」で作るのが定番です。
年末になると藁で連なった「あご」の干物がスーパーに並んでいます。
最近は「あご出汁」の鍋の素や「あご出汁」の調味料もたくさん売られていて人気があります(九州限定かもしれませんが)。
トビウオを「あご」と呼ぶようになった理由は諸説あります。
トビウオは顎が落ちるほど美味しいから
トビウオは硬くて顎が痛くなるくらい噛まないと食べられないから
トビウオの顔は横から見ると顎が出ているから
トビウオの学名がCypselurus agooだからなどです。
美味しいトビウオ料理を紹介します!
初夏から夏にかけてがトビウオの旬です。
新鮮なトビウオは脂肪分が少なく、刺身やたたきにして食べると美味しいです。
その他はくさやなどの干物やちくわ・蒲鉾などの練り物としても親しまれています。
意外と知られていないのが、回転すしで人気の「とびっこ」です。
よく数の子(ニシンの卵)と間違えられますが、とびっこはトビウオの卵です。
筆者は実家の食卓に時々トビウオの塩焼きが載っていました。
白身の魚で美味しいんだけど、骨が固くて多くて身が少なくて食べるのに苦労した思い出があります。
トビウオの大きなヒレを広げて、なぜこんなに大きなヒレを持っているんだろうと不思議に思ったことも覚えています。
ちょうどNHKのみんなのうたで「スッピン・スッピン・トビウオスッピンピン♪」という歌が流れていたので(昭和40年代)、筆者にとっては親近感のある魚です。
その他、思い出の味は屋久島空港で食べたトビウオラーメンです。
他の地方のトビウオラーメンはトビウオの干物で出汁をとったラーメンですが、屋久島のトビウオラーメンは「あご出汁」スープはもちろんのこと、トビウオの唐揚げが丸ごと一匹載っているインパクト大の一品です。
トビウオの唐揚げは骨ごとバリバリ食べることができますよ。屋久島に行った時にはぜひご賞味ください。
こうやってブログでトビウオ料理について書いていると、食べたくなってきました。明日魚屋さんで探してみよう!
最後まで読んでくださってありがとうございました。
このブログでは身近な生き物について語っていきたいと思います。リクエストがあればコメント欄に記入していただけると嬉しいです。
コメント
中部地方でも「あご出汁」の調味料使っていますよ~。
とびっこは、トビコと呼んでいました。トビウオの卵だったんですねえ。
いつか、屋久島へ杉を見に行きたいと思っています。
その時にはトビウオのから揚げが食べたいですね!!
あご出汁はかつお出汁や昆布だしとはまた違ってコクがありますよね。
屋久島はいいですよ!紀元杉やヤクスギランドは脚力に自信がなくても大丈夫です。