特別天然記念物の二ホンライチョウ、日本アルプスの高山でひっそりと暮らす野鳥です。
長野県のお土産の代表は「雷鳥の里」というお菓子で、パッケージには冬毛のライチョウが描かれています。
冬には真っ白の羽毛に変わり、雪山に溶け込み、夏は灰色から茶色の羽毛に変わり、高山に岩に溶け込みます。
必死の思いで山を登り、ライチョウさんに会えると本当にうれしい!
山で見かける二ホンライチョウはニワトリのようにてくてく歩くか、せいぜいハイマツに飛び乗る程度しか動きません。
さて、この二ホンライチョウは飛べないのでしょうか?
二ホンライチョウの特徴とは?
二ホンライチョウはキジ目キジ科の鳥で、北半球北部に広く分布するライチョウの仲間で最も南に分布しています。
氷河期の頃は日本にもライチョウは広く分布していましたが、氷河期が終わって気温が上がるにつれて気温の低い高山に移動した結果、隔離された形で生き残りました。
だから「氷河期の生き残り」と言われています。北欧などではライチョウは食用として食べられますが(北海道のエゾライチョウも)、二ホンライチョウは特別天然記念物ですから食べるなんてとんでもない話です。
現在は北アルプス、乗鞍岳、御嶽山、南アルプスなどに手厚く保護されて生息しています。
体の大きさは大人で37センチほどで見た目はかわいいのですが、「グアオーッ」と特徴のあるしわがれ声で鳴きます。
二ホンライチョウは1年に3回羽が生え変わります。
夏はオスは背中側は黒、お腹側は白で目の上の赤い羽毛が特徴的です。メスは全身茶色のまだら模様で景色になじみやすくなっています。
秋になるとオスメスともに灰褐色の羽毛になります。このときはオスとメスはよく似ています。
冬は雪景色に溶け込むように全身真っ白の羽毛に覆われます。このときもオスは目の上が赤いのでメスと区別できます。
二ホンライチョウは飛ぶ?飛ばない?
二ホンライチョウはずんぐりとした丸い体型で、飛ぶことは得意そうに見えません。
二ホンライチョウが飛ぶのは縄張り争いの時や外敵に襲われた時など「飛ばないとしかたがない」場面のみです。
でも、いざとなったら、最長で30キロメートル以上飛んですると考えられています。
2018年に木曽駒ケ岳でメスの二ホンライチョウが見つかりました。木曽駒ケ岳では50年前にライチョウは絶滅したと言われていました。
このメスライチョウの羽の遺伝子を調べたところ、なんと乗鞍岳から飛んできたことが分かったのです。
二ホンライチョウの普段の生活では飛ぶ必要がなく、歩いて生活しています。
餌は植物の芽や茎、蟻やクモなどの昆虫を食べ、巣も背の低いハイマツの木の下に落ち葉や草を敷いて作ります。
ほとんどの時間を地上で過ごすので、二ホンライチョウの羽毛は季節によって変化して周囲の環境に溶け込むことで、外敵から身を守るので飛ぶ必要がないのです。
二ホンライチョウを優しく見守って
絶滅が心配される二ホンライチョウを人間の力で繁殖させ、高山に放す活動が成果を上げて、徐々に個体数が増えています。
二ホンライチョウは古来「神様の鳥」としてあがめられて来ており、人間の攻撃を受けることはありませんでした。
だから、二ホンライチョウは人懐っこく人間と出会っても逃げません。
だからこそ、私たちが適切な距離をとって優しく見守る必要があります。
ライチョウを観察するときには
1.5メートル以上離れて、静かにそっと見守ってください
2.ライチョウがストレスを感じている場合は離れましょう
3.追いかけたり、触ったり、捕まえようとしてはいけません
4.写真を撮るときにフラッシュは絶対に使わないでください
5.決められたルートからはみ出して観察しないでください
何十年何百年経っても日本アルプスに登ればライチョウに会える環境を維持していきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
二ホンライチョウに関しては次の記事でも紹介しています。
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