ライチョウといえば、本州中部の高山帯に住む絶滅が心配される鳥ですが、エゾライチョウは狩猟の対象にもなっている別の鳥です。
では、エゾライチョウはどのような特徴を持っているのでしょうか。
ライチョウとエゾライチョウは違う鳥?
ライチョウもエゾライチョウもキジの仲間です。(ニワトリもキジの仲間です)
本州のライチョウは絶滅が心配されている鳥で、夏は黒っぽく、冬は真っ白と季節によって羽の色が変わることも広く知られています。
信州大学のライチョウ保護活動はテレビでも特集されているので、ご存じの方も多いでしょう。
一方エゾライチョウは年間を通じて羽の色は変わらず全身黄土色と茶色・白色のまだら模様です。
スカンジナビア半島からシベリア、朝鮮半島まで分布している鳥で、日本では北海道でのみ生息しています。
一見丸々と太っているように見えますが、実はこれはダウンジャケットと同じしくみで羽を膨らませて空気を入れることで寒さを凌いでいるのです。
肢にも羽毛が生えていて寒さに適応しています。
氷期と呼ばれる2万年ほど前は地球全体が寒冷でライチョウは広く分布していましたが、間氷期への移行とともにライチョウが住める植生は後退して、高緯度地方か高山帯だけになりました。
高緯度地方のライチョウがエゾライチョウで、高山に取り残されたライチョウが本州のライチョウです。
クリスマスとお正月のごちそうといえばエゾライチョウ
シチメンチョウが普及するまで、ヨーロッパや北アメリカ、そして北海道のクリスマスやお正月のごちそうといえばエゾライチョウでした。
北海道ではお正月前になると肉屋さんの店先にエゾライチョウがぶら下がって売られていたとか。
かつては北海道のエゾライチョウをアメリカに輸出していたこともあるそうです。
ライチョウ料理の定番は丸焼き、筆者は食べたことはありませんが、大変美味しいということです。お正月にはお雑煮の具としても使われます。
エゾライチョウは体重400gくらいでウズラよりちょっと大きい程度なので、丸焼きにしても家族で一羽では足りないかな。
味は抜群においしいので、エゾライチョウの数が減った今も狩猟の対象から外されないとのことです。
エゾライチョウの変わった行動
エゾライチョウのオスは春になるとなわばりを作り、「ホイッスル」という甲高い声で鳴きます。
「ホイッスル」はなわばり宣言の他にメスを誘う効果もあり、メスが卵を産んで抱卵する頃には「ホイッスル」の音も聴けなくなります。
繁殖期のオスの行動には,「ホイッスル」の他に,「羽ばたきジャンプ」があります。
これは,距離にして45m,高さ23 mほど,大きな羽音をたてて地上から急上昇してすぐにまた地上におりる一連の行動です。
また,他のオスの「ホイッスル」に対してこの大きな羽音で応えたり,この羽音を立てながら近づいてくることがあります。
このときの羽音がドラムを叩くように聞こえるので,「ドラミング」と言われています。この「ドラミング」はヤマドリでも見られますね。
鳥の仲間は一般にメスは目立たないように地味な一方オスは派手で、繁殖期になるとオスはメスを巡って争い、争いに勝つとメスに一生懸命求愛します。
それでもメスに振られてしまうこともしばしば。
「ダーウィンが来た!」でエゾライチョウが特集されました!
6月5日の「ダーウィンが来た!」でエゾライチョウの特集がありました。
その中では極寒の中、冬芽を食べるために枝に乗る様子、
身を隠すために雪にダイブしたり、天敵の狐を驚かせるために雪の中から爆発するように飛び出したりする様子が素晴らしい映像で記録されていました。
雪の下で眠ることも紹介されていましたね。
氷点下20℃といえば、まつげも凍り付き、寒いを通り越して痛い温度です。
どれだけ大変な撮影であったのかが想像できます。
定番の濡れたタオルを振り回して凍らせる画像もありましたね。
エゾライチョウはキジの仲間なので、ヒナはキジのヒナによく似ていました。
外敵が多いなかで生き残るために早くひとり立ちします。
生まれて3ヶ月で自分の頭も支えられない人間とは大きく違います。
番組の中では世界のライチョウの仲間とその求愛行動も紹介されていました。
「ダーウィンが来た」は毎週楽しみにしている番組です。
なかなか見られない動物の行動や植物の様子が映像で観られるので、とても勉強になります。
エゾライチョウについてのまとめ
エゾライチョウは日本では北海道にのみ分布するキジの仲間。
エゾライチョウは狩猟の対象で食べられる。とても美味しいらしい。
エゾライチョウは寒冷地に適応したからだに進化している。
エゾライチョウのオスは繁殖期に高い声で鳴き求愛行動をする。
エゾライチョウは天敵から逃れるために忍者のように雪にもぐったり、飛び出したりする。
エゾライチョウは寒さを凌ぐため雪の下にもぐって寝る。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
二ホンライチョウについてはこちらの記事をお読みください。
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