ナマケモノは可愛らしい顔とゆっくりした動きが特徴の哺乳類です。
ナマケモノの英語名は「Sloth」スペイン語名は「Perezoso」です。
どちらも「ゆっくり」や「ぐうたら」で日本語の怠け者と同じ意味です。
どうしてあんなにゆっくりと動くのでしょう?
ナマケモノの生態と生き残り戦略について解説します。
ナマケモノの種類は?動きは徹底的に遅い
ナマケモノは中米から南米にかけて分布していて、「ミツユビナマケモノ」と「フタユビナマケモノ」がいます。
「ミツユビナマケモノ」は体色がグレーで小型、顔にタレ目の模様があります。
「フタユビナマケモノ」は顔が白く、顔にタレ目模様はありません。名前の由来は前足の爪の数です。
ナマケモノのトップスピードは時速160メートルです。赤ちゃんのハイハイよりもスローペース!
ナマケモノの食事も超スローペース、1日あたりの食事量は葉っぱ8グラムで食べたものの消化に16日かかります。
したがって排泄も週に1回程度です。排泄のときだけ木から地面に降ります。
先日コスタリカで野生のナマケモノを見ました。なんとそのナマケモノが排泄のために木から降りてきました。ふつうなら樹上にいるナマケモノを眺めるだけなのですが、間近に観察できました!
少ない食糧を丁寧に消化して、エネルギーを節約して生活する。究極のエコですね。
ナマケモノは森を育てる
ナマケモノの排泄は週に1回程度で、排泄のときだけ木から降りて木の根元に穴を掘り、排泄後は落ち葉をかぶせます。
木から降りるときがナマケモノにとって最も天敵に狙われやすく危険です。命がけのトイレです。
このようなナマケモノの排泄行動が熱帯雨林を育てているのです。
熱帯雨林の土壌は栄養が乏しく痩せています。高温多湿のため、落ち葉や倒木が微生物に分解されてしまい、木の栄養にならないのです。
ナマケモノの排泄物が熱帯雨林の木々の栄養となり、森を育てています。
ナマケモノは昆虫や藻類と共生
ナマケモノの被毛には昆虫や藻類が住み着いています。
ガの仲間はナマケモノの被毛で暮らし、交尾をします。そしてナマケモノの排泄物に産卵し、幼虫はナマケモノの糞を食べて成長します。
ガが暮らすことでナマケモノの被毛は窒素分が増え、これを栄養分にしてナマケモノの被毛に藻類が生えるのです。
藻類はナマケモノの食糧になりますし、ナマケモノの姿を目立たなくする効果があります。
ナマケモノが生き残った理由
ナマケモノは究極の平和主義者で、同じ種類のナマケモノでも餌にする木の好みが個体ごとに異なっていて、争いを避けています。
鋭い爪も木にぶら下がる目的で使用され、攻撃に使われることはありません。
天敵のワシに見つかったときは、木から落ちて逃げます。抵抗しようと激しく動くと体温が上がりすぎて死んでしまいます。
素早い動きや強さとは無縁のナマケモノですが、熱帯雨林を育て、昆虫や藻類と共生して生き残って来ました。
種の存続に必要なのは、環境を変えてしまうような強さではなく、スローでも環境を守る優しさであることをナマケモノは教えてくれているのかもしれませんね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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