私たちに最も身近な野鳥であるスズメ、ちゅんちゅんと鳴き、ぴょんぴょんと跳ねる誰でも知っている鳥です。
そのスズメが昨年20年ぶりの全国調査で数が大きく減っていることがわかりました。
将来スズメが絶滅危惧種に指定されるかもしれません。
人間の生活に入り込んでいるスズメはなぜ減少しているのでしょうか?
スズメの減少の原因や私たちの生活への影響や対策を紹介したいと思います。
スズメが減っているって本当?
2021年10月、国内の野鳥の分布を調べる約20年ぶりの全国調査の結果スズメやツバメなどの身近な鳥が減少していることがわかりました。
その一方でソウシチョウやガビチョウなどのペットとして持ち込まれた外来種の鳥が増えていることもわかりました。
2021年の全国調査では予算がつかない中、たくさんのボランティアの方が調査に協力して、その結果スズメは3万1159羽から2万627羽に減っていました。
スズメはスズメ目スズメ科の留鳥(りゅうちょう いつも日本にいる鳥)で、小笠原諸島をのぞく全国に分布しています。
スズメの大きさは全長15センチ程度で、野鳥の観察をするときに体の大きさの基準にもなっています。
羽毛の色は背中側は茶色で、首からお尻にかけてが白色です。ほおに黒い斑点があり、斑点が大きいオスほどメスにモテるらしいです。
北海道や本州の平野林や山地林には、ほおの黒い斑点がない「ニュウナイスズメ」も分布しています。
スズメが減っている⁈その原因は?
スズメが減っている原因の1つは巣を作る場所が減ったことです。
スズメは警戒心が強く、家の軒下のすき間など狭いところに巣を作ります。
街中では換気扇や街灯の裏に巣を作ることもあります。他の生き物が入り込めない狭い場所で「えっ!こんなところに?」とびっくりすることもあります。
以前勤務した学校では渡り廊下のコンクリートのすき間に巣を作り、ヒナが落ちてちょっとした事件になりました。
最近の住宅はこうしたすき間がなく、マンションも増えています。巣を作る場所が減ると、子育てできずにスズメの数は減ったのでしょう。
スズメが減っている原因の2つ目はエサが少なくなったことです。
スズメは雑食で基本的には何でも食べますが、好物はイネ科の植物で、その種子や近辺にいる虫を食べます。
かつては空き地に雑草が生え、そこで暮らす虫もたくさんいましたが、そのような場所は減っています。
また、道路が舗装されたことも種子や虫などのエサの減少の原因です。
さらに除草剤や殺虫剤を用いた農業や農家の機械化が進み、収穫の「おこぼれ」をもらう機会も減ってしまいました。
スズメが減っている⁈その影響は?
スズメが減ると私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。
スズメは街中では人の食べこぼしや、地面の虫をつついていて、カラスのようにゴミを荒らすイメージはありません。
スズメが害鳥として扱われるのは、夏から秋にかけて田んぼ稲を荒らしてしまう時がです。
その一方で、スズメは稲につく害虫を食べてくれる益鳥でもあります。
最近の農業では農薬などを減らして自然のサイクルを大切にした栽培方法が注目されています。
自然農法や有機農業で農薬の代わりに害虫から農作物を守るのは虫を食べる天敵の動物です。
スズメが減ると、害虫が増え、人間は農薬に頼らなくてはいけなくなります。
スズメが減っている⁉その対策は?
スズメが減った原因には私たち人間の生活様式の変化が関わっています。
スズメが減ると、まわりまわって私たち人間の生活にも影響があります。
では、スズメの減少を止める対策はあるのでしょうか?
対策の1つ目はスズメの住みかを確保することです。
街中で新しい建物を設計するときに、スズメが巣を作れるような小さなすき間を取り入れてはどうでしょうか。
郊外であれば、公園や街路樹に巣箱を設置して、小鳥が梅雨時の激しい雨や冬の寒さから身を守る場所を作ることも効果があると思います。
対策の2つ目は冬のエサを確保して越冬を助けることです。冬の寒さが厳しい地方では、冬場にエサをあげてはどうでしょうか。
対策の3つ目は外来種の鳥を増やさないことです。ペットとして鳥を飼っている人は、逃げ出さないように注意して飼育してください。
飼えなくなったから放してしまうようなことは決してしないで欲しいです。
スズメは身近な鳥です。早朝といえばスズメのちゅんちゅんという鳴き声が欠かせませんし、スズメが登場する昔話はみんなに親しまれています。
スズメは縁起のよい鳥としても知られ、厄をついばみ一族繫栄・家内安全・富の象徴とされます。
いつまでも私たちの周りにスズメがいて欲しいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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