コアラと言えば、カンガルーとともにオーストラリアの珍しい動物の代表です。可愛らしいのでお菓子になっていますよね。
6月26日には「ダーウィンが来た!」でも取り上げられました。放送では動物園では決して見ることのできないコアラの行動や野生のコアラの今が紹介されました。
今回はこのコアラについて書きました。
コアラとはどんな動物なの?
コアラは「フクログマ」「コモリグマ」という和名をもっていますが、ほとんど聞いたことがありません。
「コアラ」といえば「あの動物ね」とほとんどの人がイメージできますよね。
「コアラ」にはアボリジニの言葉で「水を飲まない」という意味があります。
コアラはカンガルーと同じお腹の袋で子供を育てる有袋類(ゆうたいるい)です。
コアラの袋は下向きについているので、袋の中の赤ちゃんを見るのは難しいです。
下向きでも袋の口はキュッと閉まるので赤ちゃんが落ちることはありません。
赤ちゃんコアラは生後6か月くらいで袋を出て、お母さんにしがみついて成長します。
コアラはオーストラリア大陸の東側に生息しています。オーストラリア全土にいるわけではありません。
視力はあまりよくありませんが、嗅覚(においを感じる力)は鋭く、餌のユーカリの臭いをかぎ分けます。
コアラは木の上で生活をしますので、木につかまるために爪は鋭く、握力は強いです。
コアラを抱っこした時に、爪が食い込んでびっくりした観光客は多いですよ。
コアラの寿命は13年から18年、体重は4キロから15キロ、子育て中を除き
単独で生活します。
コアラがいつも木の上にいる理由は?
コアラはいつも木の上にいます。地上に降りているコアラを見ることはまれで、コアラにとっては大変危険な状態です。
コアラはユーカリの葉を食べます。ユーカリには毒があるので、他の動物は食べません。
鋭い嗅覚でできるだけ毒の少ないユーカリの葉を選んで食べています。
コアラはこうして他の動物と餌を巡っての争いを避けているのです。
ユーカリの木の上にいれば餌もあるし、敵に襲われることはありません。
だから、木の上の生活に適した体に進化したのです。
ユーカリは油分が多い植物です。気温が高く乾燥していると、山火事が発生することもあります。
山火事になっても木から降りようとせず、犠牲になったコアラは少なくありません。
オーストラリアのお土産にコアラのマスコット(クリップ)をもらったことはありませんか?ばらまきお土産にぴったりのあれです。(笑)
私は、あれはコアラの木にしがみつく習性をよく表したマスコットだと思います。
コアラが木の上でいつも寝ている理由は?
コアラの睡眠時間は20時間以上です。
動物園にコアラを観に行っても、いつも寝ていてつまらないという声も聞きます。
私も起きて活動するコアラは数えるほどしか見たことがありません。
なぜ、いつも寝ているのでしょうか。それはユーカリに原因があります。
ユーカリに毒があることはすでに書きました。
コアラはユーカリの毒を体内で分解します。
毒の分解にはエネルギーがたくさん必要です。
だから、解毒のエネルギー確保のためにいつも寝ています。
また、毒の分解には酵素が必要です。赤ちゃんコアラは酵素を持っていません。
赤ちゃんコアラはお母さんのうんちを食べることで、分解酵素を獲得します。
コアラの袋が下向きなのは、そのような理由もあるのでしょう。
コアラに会える動物園はどこ?
コアラは1984年に初めて日本の動物園にやってきました。
現在コアラを飼育している日本の動物園は7カ所です。
コアラに会える動物園 1.東山動植物園(愛知県)
イケメンゴリラのシャバーニで有名な名古屋市の動物園です。
コアラフォレストという学習施設もあります。
コアラに会える動物園 2.平川動物公園(鹿児島県)
オス4頭、メス10頭のコアラがいて、新コアラ舎もできました。
コアラに会える動物園 3.埼玉県こども動物自然公園(埼玉県)
東松山市の比企丘陵にあり、コアラの繁殖にも成功している動物園です。
コアラに会える動物園 4.神戸市立王子動物園(兵庫県)
ジャイアントパンダの旦旦がいることでも有名な動物園です。
ジャイアントパンダとコアラの両方を見られる動物園は日本でここだけです。
コアラに会える動物園 5.東京都多摩動物公園(東京都)
東京都でコアラが見られる動物園です。
オーストラリア園にはコアラの他にカンガルーやワライカワセミなどもいます。
コアラに会える動物園 6.横浜市立金沢動物園(神奈川県)
開園40周年を迎えた動物園です。
コアラに会える動物園 7.淡路ファームパーク イングランドの丘(兵庫県)
長寿で世界記録に認定された25歳のコアラ「みどり」がいます。
「ダーウィンが来た!大火災で激変!コアラの今」が放送されました。
6月26日日曜日に「ダーウィンが来た!」で2019年の夏から半年間にわたる大火災後、環境が激変したコアラの様子が放送されました。
この大火災でなんと日本の面積の半分の森が焼失し、多くのコアラが犠牲になりました。
特に被害が大きかったのは南部のカンガルー島で、9割以上が犠牲になりました。
その中では、自分のTシャツを脱いで命がけでコアラを救う女性の様子も含まれていました。
このニュースは当時大変話題になりましたね。
大火災から2年経っても、ユーカリの森は再生の途中です。もとに戻るのに10年かかると言われています。
再生するまでの10年の間にまた山火事が起こるかもしれません。
山火事は自然災害ですが、その原因の気候変動には人間の活動が影響しているということは事実です。
食料となるユーカリの木が燃えてコアラの密度が高くなり、なわばり争いをするコアラたち。
コアラは通常直径400メートルほどのなわばりをもち、単独で暮らします。
コアラが取っ組み合いをするようすを筆者は初めて見ました。
平和な動物のイメージのコアラがうなり声をあげ争っています。
過密すぎてオスとメスの求愛行動もうまくいきません。
火災で数が減ったうえに繁殖もうまくいかなければ、ますますコアラの数は減るでしょう。
生活場所を求めて住宅街に進出したコアラたち。
街路樹のユーカリを食べるためにやってきました。
森の中のようには上手に移動できません。
最後は人が飼育したコアラを野生に帰す取り組みも紹介されました。
コアラとのいい関係を作っていこう
コアラは2022年2月に「絶滅危惧種(EN)」に選定されました。
コアラが絶滅危惧種に選定された理由は人間の開発による生息環境の破壊、
気候変動の影響による干ばつや森林火災の拡大です。
オーストラリアには複数のコアラ保護施設があり、
けがをしたコアラや住かを失ったコアラを保護しています。
動物園のコアラを「かわいい」と写真を撮るのもいいですが、
コアラが本来の場所で暮らせるように私たちはどうすべきかを考えることも大切です。
蒸し暑くなり、マスクと熱中症、エアコンと節電、私たちの生活も課題が山積みです。
しかし、どの課題もバランスを取ることが大事なのではないでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
コメント