「ワルナスビ」という植物を知っていますか?なんともひどい名前ですね。
命名者は日本の植物学の父である牧野富太郎です。NHKの朝ドラの主人公で今話題の人物です。
ワルナスビはどのような植物なのでしょうか?どこがワルいのか調べてみました。
ワルナスビの名前の由来は?牧野富太郎との関わり
生きものの名前には世界共通の学名、日本での名前である和名(標準和名)、日常でよく使われるニックネームである通称名(同じ植物でも地方で呼び名が違う)があります。
江戸時代の終わりから明治大正にかけて活躍した植物分類学者である牧野富太郎は、日本の植物を長年にわたって研究しました。
和名のおよそ半分は彼の命名です。中にはとてもユニークな名前があり、ワルナスビはその代表でしょう。
ワルナスビは空き地などに群生している外来種です。トマトの花にそっくりな白から紫色の花をつけます。
葉の裏側や茎には鋭いトゲがあるので触るときは要注意ですよ。トゲがあるからワルなのか?実はそれだけではありません。
牧野富太郎は牧草地でみつけたワルナスビを自宅に持ち帰って庭に植えました。すると地下茎でどんどん増えてしまいました。
増えすぎて困ったので抜こうとすると地下茎がちぎれてそこからまた増えてしまいました。この強すぎる繁殖力から「ワルナスビ」と名前を付けたそうです。
牧野富太郎はこの命名をとても気に入っていたようです。
ワルナスビの生態は?繁殖力が半端ない!
ワルナスビはジャガイモやトマトと同じナス科の植物で、アメリカ合衆国南部原産とされています。
明治時代の終わりに家畜の飼料に混じって日本に入ってきた後、分布がだんだん広がって牧草地だけでなく、花壇や空き地にもみられるようになりました。
国立環境研究所侵入生物データベースによると、このワルナスビは要注意外来生物(外来生物法)に指定されています。
ワルナスビの繁殖期は6月~9月で、種からも地下茎からも増えていきます。
繁殖力が強いため、前にも書きましたように地下茎は小さな断片からでさえ再生できます。
つまり、地上部の見えている所を刈り取っただけではワルナスビは退治できません。
ワルナスビは黄色のかわいい実をたくさんつけますが、1つの実には何十個もの種が入っています。
この種は時間が経った後でも、条件がよければ芽が出て育ちます。
ワルナスビの名前の由来は?ワルナスビのワルい所4つ
鋭いトゲ
ワルナスビの茎や葉には鋭いトゲがびっしり生えていて、軍手も突き抜ける鋭さです。
うっかり素手で引き抜こうとしてケガをしないように気を付けましょう。
アレロパシー(他感作用)
ワルナスビは根から他の植物の生育を阻害する物質を出して、周りの他の植物を枯らしてしまうアレロパシー作用があります。
ツツジなどの植え込みにワルナスビが生えると、ツツジが枯れてしまうこともあります。
ワルナスビの実には毒がある
ジャガイモの芽には「ソラニン」という毒があることは知っている人が多いでしょう。
ワルナスビにもソラニンが含まれていて、特に実に多く含まれています。絶対に食べてはいけません!
ナス科の作物の病気を媒介する
ワルナスビはジャガイモの害虫や、トマトの病気のウイルスや病原菌を媒介してしまうことがあります。
ナス科の農作物の近くにワルナスビが生えていると病害虫の被害にあう可能性が高くなります。
空き地や道端で見かける植物も調べてみると面白いことがたくさんありますね。春本番を迎え、雑草を含めいろいろな植物が芽吹いています。ちょっと興味を持って眺めてみてはどうでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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